自由時感

    ちいさな時間研究所

    無理なく、そして楽しく。
    日々の暮らしを上手に整えるコツ。

    せんせい:門倉 多仁亜

    かどくら たにあ さん プロフィール写真

    かどくら たにあ さん プロフィール

    料理研究家。1966年生まれ。日本人の父、ドイツ人の母を持ち、日本、ドイツ、アメリカで育つ。幼い頃ドイツに住む祖父母と暮らす機会があり、その時に家事の手伝いをしたのがきっかけで料理好きとなる。国際基督教大学卒業後、東京、ロンドン、香港の外資系証券会社に勤務。結婚後は夫の留学に伴い再び訪れたロンドンの「ル・コルドン・ブルー」で料理と菓子を学びグランディプロムを取得する。NHK「ドイツ語会話」で2年間ドイツ料理コーナーを担当。現在は雑誌や広告用のレシピ提案をはじめ、料理に限らずライフスタイル全般においてメディアで活動中。著書『コーヒータイムのお菓子』(文化出版)、『タニアのドイツ式部屋づくり』(ソフトバンククリエイティブ)。

    朝のルーティンが、家のきれいを作る

    忙しいと後回しにしがちな家の中のお手入れ。特に真夏の時期は、すっきりとした家で心地よく過ごしたいものです。そこで今回は、ちいさな時間で家をきれいに保つコツや、素敵なインテリアの作り方を料理研究家の門倉多仁亜さんに教えていただきました。
    門倉さんはドイツ人のお母さまから受け継いだ心地よい部屋づくりでも最近注目されている方です。そんな門倉さんの、時間をかけずに家をきれいに保つ一番の秘訣とは?
    「自分なりのルーティンを作ることでしょうか。朝歯磨きをするのと同じ感覚でお掃除や片付けも一日の流れに組み込んでしまうと、あまり考えずにすむので楽になると思うんです。何でも『しなければいけない』と思うと大変になりますよね」
    門倉さんの日課は、ご主人を仕事へ送り出した後に行う30分間の整頓。寝室から順に、ものを元の場所に戻し、水まわりは自分が使った後にササッとお掃除。それだけでも家はすっきりと整うのだそう。
    「私の生活がどこまでドイツ式かはわかりませんが、母も祖母もこういう暮らしをしていたので自然とそうしてきました。ドイツの人はあまり外食をしないので主な社交場は家。だからいつお客様が来てもいいように家を整えておく習慣があるんです」
    なるほど。ちいさなお手入れを日課にすることが、家のきれいの第一歩なのですね。

    今使わないものは、ずっと使わない

    門倉さん曰く、片付けをしやすくするコツは『ものはなるべく少なくし、すべてのものに収納スペースを作ること』。それは、お父さまの転勤などで過去20回以上もお引越しをしてきた中で学んだ知恵でもあるのだと言います。先日も小さなお引越しをしたばかりとのことですが、取材にうかがったお住まいはそうとは思えないほどすっきり整えられています。ものを増やさないためにはどんなことを心掛けたらよいのでしょう?
    「使う使わないの整理を定期的にすることです。私の場合、引越しの度に整理する機会がありましたので、一生大事にしたいものとか、本当に好きなもの使いやすいものだけを自然と選べるようになりました」
    整理を繰り返していると、自分にとって本当に必要なものが分かってくると門倉さん。
    「それから、使う“かも”しれないものを取って置くのが一番大変です。後で使うかもと思って仕舞っておいても、今使わないものは結局ずっと使わない(笑)。確かにものを処分するのはもったいないです。でもそれをずっと管理しておくスペースや手間だってもったいない。スペースと相談しながら、そこに収納できる量しかものを持たない。そういうルールを作ることも大切です」

    古いものとの融合で、空間は息づく

    お部屋のいたるところに素敵なアンティーク家具が置かれている門倉さんのお住まい。古いものをインテリアに取り入れるその理由とは?
    「新品にはない風合いや手作り感が好きなんです。それにピカピカのものはピカピカに手入れしないといけないですから、それがプレッシャーになって嫌という理由も実はあります(笑)。昔のものは自然素材で作られているものがほとんどなので、古くなってもいい感じに古くなっていきますし、キズなどもまた味になったりしますよね」
    そんな思い入れたっぷりの家具たちの中でも特に目をひくのが着物だんすや帳場だんす。使い方もユニークで、思わず『なるほど』と唸ってしまいます。(下記参照)
    「日本の古い家具は奥行きがありますしデザインもシンプルなので使い勝手がいいです。現代マンションの白壁ともすごく合うと思いますし。それに部屋も家具もすべて新しいと、なんだかショールームみたいになっちゃうんですよね」
    古いものと新しいものをミックスさせると、とても雰囲気良くまとまるのだと門倉さん。確かにこの空間には、昔からそこで暮らしているかのような不思議な温かさがあります。
    「家の中は、色々工夫しながら自分たちで作っていく場所だと思うんです。その方が楽しいし、見るたびに自分でやったというような達成感がありますよね」
    家という空間を心から愛(いつく)しんでいる門倉さん。皆さんも、日々のちいさな時間を上手に使って“心地よい空間づくり”を目指してみてはいかがでしょう。

    随所に置かれたアンティーク家具が、白壁のシンプルなリビングに上品な温かみを与えています。洋風インテリアに見事に調和した着物だんすにも注目。

    サイドボード上のディスプレーは、グリーンと一緒に金属や陶器など色々な素材のものをミックスして飾る方がきれいに見えると門倉さん。

    着物だんすにはテーブルクロス等のかさばる布類を、写真の帳場だんすにはティーカップやお皿を収納。奥行きのある日本家具の特性が上手に活かされています。

    アンティークショップで購入したイスのクッション部分にお気に入りの布を貼ってアレンジ。クッション部が外せるイスは多いので意外と手軽にできるのだとか。

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