COLUMN

油断大敵!住まいに潜むカビ問題。効果的な予防策をプロが指南

2026.07.09
Clean up・お掃除

2025年のデータによると、「住まいのカビ」に関する相談件数が前年比65%増(24〜25年:さくら事務所調べ)と大幅に伸びています。
元々の高温多湿な気候風土に加え、近年は住宅性能の進化によって「気密性」が高まり、年間を通してカビが発生しやすくなっているそうです。以前は“カビと言えば梅雨時期のお悩み”でしたが、今や年間を通した対策が欠かせません。そこで今回は、カビ取り専門のプロ集団〈カビ取り屋.com〉の河島氏に、基本的なカビの発生メカニズムとその予防策についてお話を伺いました。
 

202607_河島さん

〈カビ取り屋.com〉の河島氏にレクチャーいただきました。

 


お部屋のカビの原因ベスト3に入る結露
予防策は、換気、湿度管理、お掃除の3つ

 
― 近年の住宅性能の進化により、カビの発生状況や時期など変わっていますか?
河島氏(以下、河島): 弊社は今年で創業16年になるのですが、問い合わせ件数はずっと右肩上がりです。以前は冬になるとガクンと下がっていたのですが、今は夏より少ないながらも年間を通して問い合わせが来るようになりました。夏はもちろん湿度が高いことが原因ですが、冬のお問い合わせの原因のほとんどは結露です。

 
― 冬だし気温も低いので大丈夫と思ってはダメですね。
河島:昔に比べて住宅の気密性が高くなったことで、結露が発生しにくくなった面もあります。ただ、その分、意識して換気をしていないと、室内の湿気が逃げ場を失ってしまうんです。そうすると、窓まわりや壁面などに結露が発生しやすくなり、その水分をきっかけにカビが繁殖してしまうことがあります。冬でも暖房で室温は高く保たれているので、湿気と温度の条件がそろうと、カビが生えやすい環境になってしまうんですね。

 
【Before After 施工事例1】

 


北側窓周辺の結露は特に気をつけたい箇所のひとつ。

 
― 結露を100%防ぐことは難しいと思うのですが……。
河島:まずきちんと換気することです。起きた結露をなるべく早く乾かすためと、カビ菌を付着させないために、空気を動かすことがポイントです。これは冬だけの話ではありません。お客様にお話を伺ってみると、1階だからセキュリティー上ほとんど窓を開けない方や、花粉症の時期は窓を閉め切った状態にしている方など、換気が足りていないケースが多く見受けられます。24時間換気システムがあるならスイッチは切らないようにしましょう。とにかく意識的に換気していただきたいと思います。

 
― 換気の他に気を付ける点はありますか?
河島:特に何らかの理由で換気が難しいお部屋では、湿度管理にご注意いただきたいです。カビは湿度が60%を超えると活動が活発になってくると言われています。最近は洗濯物を部屋干しされる方も増えていますが、除湿器を使うなどしっかりと対策してください。また、初夏から秋の時期に長期間不在にされる場合は、エアコンを冷房にして設定温度を25〜27℃で付けっぱなしにすることをお勧めしています。

 
もう一点大切なのは、カビの栄養源になるホコリや手垢、食べカスなどをこまめに掃除することです。お客様にはよく「モノはできるだけ減らした方がいいですよ」とお伝えしています。掃除もしやすいですし、同じように換気をしていても、モノが多いと空気の通りが悪くて湿気がこもりやすいですからね。

 
あとは、結露が起きやすい外壁に面した壁側には、できるだけ家具を置かないことも大切です。どうしても配置する場合は、可能な限り壁との距離をあけて、空気が通る隙間を作るようにしていただくとよいと思います。

 
【Before After 施工事例2】

 


結露しやすい窓側壁面にベッドを密着させていたことで広範囲にカビが発生した例。

 

高齢者やペットがいるご家庭は
特に注意が必要

 
― 見た目が悪いのはもちろんですが、他にどのような悪影響が考えられますか?
河島:一番はアレルギーです。カビが発生しているお部屋で生活していると過敏性肺炎になることもあるので気をつけていただきたいです。また、高齢者や何らかの基礎疾患があるような免疫力が低い方は、肺真菌症という感染症にかかる場合もあります。

 
― ペットを飼われている家庭への影響はどうですか?
河島:ペットそのものがカビに直接影響するというより、ペットの抜け毛にホコリや結露の水分が付着し、そこにカビが発生しているケースを見たことがあります。こうした場合は、やはりこまめにお掃除をしていただくことが大切です。

 
また、ペットのための室温設定が、カビの発生に影響することもあります。たとえば、暖かい地域に生息する鳥を飼われているお宅では、冬場でも室温を高めに保っていることがあります。一方で、暑さに弱いペットを飼われているお宅では、夏場に室温を低めに設定しているケースもあります。どちらもペットにとって必要な環境ではあるのですが、室内と外気温との差が大きくなると、結露が発生しやすくなります。その結露をきっかけにカビが繁殖してしまうこともありますので、ペットを飼われているお宅では、湿度や結露にもより一層注意していただきたいですね。

 
【Before After 施工事例3】

 


天井面に発生した黒カビ。コンクリートの天井は外の冷気が伝わりやすく結露が起きやすい。

 

カビに水拭きは厳禁!!
処置に困ったら迷わずプロに相談しよう

 
― すでに発生してしまったカビの応急処置はどうすれば良いのでしょうか?
河島:カビを見つけたときに、水で濡らした雑巾で拭かれる方もいらっしゃいますが、水拭きはおすすめできません。水拭きをすると、一見きれいになったように見えても、カビが繁殖するための水分を与えてしまうことになります。現場では「カビに餌を与えるようなものです」とお伝えすることもありますが、それくらい水分はカビにとって大きな要因なんです。実際に、数週間から1ヶ月ほどで、拭いた範囲にカビが広がってしまうケースもあります。初期段階のカビであれば、無水エタノールなどのアルコールが有効な場合もあります。ただし、素材によっては変色や傷みが出る可能性があるため、使用前に目立たない箇所でテストすることをおすすめします。最近は、壁紙用や木材用など、用途別のカビ取り剤も多く販売されています。ご自身でカビ取りをされる場合は、場所や素材に合わせて使い分ける方が安全です。

 
― やはり素人では上手く除去できないこともあります。専門家にお願いした場合は、どのようなステップで作業を進めていくのでしょうか?
河島:お写真だけでは判断できないことも多いので、基本的には訪問させていただいて現地調査を行います。例えば、黒カビは水分を好む性質があり、通常は浴室など湿気が多い場所に発生するのですが、北側のお部屋の窓付近や、外壁に面している収納内の壁紙やベニヤ板に発生していれば、やはり“結露”が原因ではないかと考えます。ただし、通気性が良さそうな場所に黒カビが発生している場合は、水漏れなど別の要因も疑います。

 
― なるほど…。周辺状況も踏まえ原因を追求しないとまた繰り返す可能性がありますね。
河島:そうですね。カビは表面的に除去すればいいというものではありません。原因を見極めカビの根っこまで取り除くこと、それと同時に生活する上で気をつけていただきたい点をお伝えすることも大事です。そのため、ほぼ全ての現場に足を運び、見取り、聞き取りを行なうようにしています。

 
― 使用する場所やカビの種類によって薬品は変えるのでしょうか?
河島:どのようなカビがどこまで広がっているか、除去するベースの素材などを見極めながら、数パターンある工法から最適なものを選び、希釈濃度を変えたり調合したりしていきます。一番厄介なのは、塗装されていない木材などデリケートな素材に手強いカビが発生しているケースですね。壁紙なども状態によっては張り替えのご提案をさせていただくことがございます。

 
― 壁紙の張り替えもお願いできるのですか?
河島:はい。カビ取りからそれに伴う内装工事全般を一括して施工しております。壁紙の表面だけを処理しても、下地にカビが残っていると、どうしても再発のリスクがあります。ですので、必要な場合には壁紙を剥がして、下地のカビ除去と防カビ処理をしっかり行います。そのうえで新しい壁紙に貼り替え、さらに表面にも防カビコーティングをすることで、より長く安心して暮らしていただける状態を目指します。

 
― 壁紙を剥がさなくても下地にカビがいるのがわかるのですか?
河島:壁紙の表面にあきらかに目に見えるカビが発生していれば、これまでの経験で下地までカビがまわっているかどうかは判断できます。でも、よく見るとうっすらシミがあるかな?という程度では、剥がしてみないとわからない時もあります。そういう場合は、どれくらい菌類がいるかを簡易的に測定するルミテスターという機器を使います。カビ菌だけ測定するわけではないのであくまで目安ですが、怪しい箇所だけ数値が跳ね上がっていれば、壁紙の裏、下地でカビが発生していることを疑います。

 
あるお客様のお宅で測定したところ、カビが疑われていない別の壁面では1280という数値で、弊社が設定している「正常」の範囲内でした。ところが、カビが疑われる箇所では41万という、桁違いに高い数値が出たんです。そのため、表面だけの問題ではなく、下地までカビが広がっている可能性が高いと判断し、壁紙の貼り替えをご提案しました。

 
【怪しい箇所をルミテスターで簡易的に測定すると?!】

 

 

綺麗な壁面では正常値の1280を計測したが…。

 

 

疑われる箇所では、41万と桁違いの数値が計測されたため、壁紙の張り替えをご提案した。

 
― やはり、状態を見ながらプロの見識で判断していただけると安心感があります。ちなみにどんなものでも除去してもらえるのでしょうか?
河島:一般住宅では屋内のカビはもちろん、外壁のカビや苔・藻にも対応しています。ただし、ソファなどの皮革製品や布製品で液剤によるシミや変色の恐れがある場合は、お断りするケースがございます。

 
暑さが本格的になる季節。モノを減らし、こまめな掃除と換気を心がけることが、防カビへの第一歩だと改めて痛感しました。しかし、既に発生してしまったカビは、早めにプロに相談し根本的に除去してもらいましょう。素人目には気がつかない発生箇所や、除去後の予防策までアドバイスがもらえて安心です!河島さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

●取材協力●
カビ取り屋.com

会社HPはこちら!
https://kabitoriya.com/


日本では数少ないカビ取り専門のプロ集団。一般住宅をはじめ、店舗、病院、福祉施設、ホテル、温浴施設など、独自の「現場専用調合処理MAD工法」による除カビ、防カビ施工は3,500件超の実績を誇る。

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