自由時感

    時間の生き方1問1答

    Q1.料理研究家として今後目指すもの

    今は新しいお料理を作っていくよりは、伝統的な暮らしの中にあるお料理を伝えていくことに興味があります。以前コルドンブルーにお料理を学びに行って帰国後にたまたまそれを人に教える機会があったんですが、私が学んできたお料理は食材をものすごく贅沢に使いながら時間をかけて作る高級なお料理で、まったく家庭の味じゃなくて…。教えながらこれは違うなって。きれいなお店で出てくるようなお料理もいいんですけど、私はやっぱりドイツの祖母が普段ちゃちゃっと作ってくれたお菓子の方が本当の家庭の味だなと思いますし、そういうものを伝えていきたいです。なのでこれからは母の国であるドイツのお料理を自分の生活の中に取り入れながら伝えたり、鹿児島のお義母さんが生前に作っていた伝統料理もお義姉さんに習いながら覚えたいと思っています。

    Q2.家族間で大切にしていることは?

    時間をとって話をすることですね。それもテレビのついていないところで話をします。あとは主人と2人だと週末は長々と散歩に出かけます。1時間とか2時間とか一緒に歩いて思いついたことを話したり。何気ない会話がほとんどですが、私たちにとっては大切な時間ですね。それから私の両親も東京に住んでますので結構よく会っています。大抵は食事をしながら時間を共に過ごすという感じで、先日も父と飲みにいきました。サラリーマンが集うような居酒屋で一杯というようなのが好きなので…(笑)。父とは2、3週間に1回は飲みに行って話しますね。さりげない話ばかりですよ。家族の話とか、お互いの仕事の話とか、主人の田舎の鹿児島の話とか…。
    鹿児島に行った時は、義理のお父さんとも毎食一緒にご飯を食べて話をしています。最初の頃は緊張しましたが、慣れてくるとただ一緒に食べているだけでも自然とお互いに話が出てくるんです。やっぱり一緒にいることって大事ですね。

    Q3.日本の暮らしで感じることとは?

    立ちどまる時間がもっとあってもいいように思います。日本はとても効率を求めている国ですよね。電車も宅急便も時間通りで、本当にすべてが便利で素晴らしいのに、それでできたゆとりの時間を、また他のことで忙しくしてしまう…。せっかくの効率の良さがもったいない気がします。それとやはり「家事は女性のもの」という意識が強いのだなと感じます。ドイツでも家事は主婦が全部やるもので、そのことに誇りを持っていますが、仕事や育児で大変であれば家事は分担しますし、家事サービスなどをお願いすることが恥ずかしいというイメージもありません。家をきれいにしていたいからこそ、ゆとりが欲しいからこそ、手が足りない部分をお願いするという感覚です。それに家事をお願いしたところで他にもすることはいっぱいあるんですよね。日々の家庭管理は大変なことなので、もっと女性も肩の力を抜いて自分に寛容になっていいと思いますし、ゆとりというものにお金を使ってもいいのだと思います。これは男性にも言えますね。

    Q4.人生という自由時間、どう使う?

    実は今住んでいるマンションとは別に、鹿児島の主人の実家近くにシンプルな家を建てたんです。東京では仕事をして、鹿児島では野菜作りを勉強してみようと思っていて。味噌作りなどもそうですが、やはり実際に教えてもらわないと身につかないんですね。先日も親戚の叔母にニンニクの吊るし方を習ったんですが簡単なようで難しくて。しめ縄作りなど年に1度くらいしか覚える機会がないものも多いので、長いスパンで地道に覚えて代々伝えていきたいですね。多分私はそういうのが好きなんだと思います。
    また、これは義理の母が亡くなる前の話ですが、お料理でとても勉強になることがありました。ある日お義母さんと料理番組を観ていたら「この先生、野菜をいっぱい作ってるんだね」って言うんです。最初何を言ってるのかわからなかったんですが、お義母さんが料理をする時は自分の畑のものしか使わないので、番組の食材の多さにびっくりしたんです。それを見て、私は買い物をして料理をすることしか知らないんだって気づいて…。田舎にいると今日も筍、次の日もその次の日も筍がいっぱいで…もう料理しきれない~ってなるんです(笑)。でもそれが自然なことなんだって実感しました。そんなリアルな中での料理の作り方というのも、これから鹿児島の家で勉強していきたいと思っています。

    取材時にごちそうになった、ドイツのデリカテッセン“ダルマイヤー”のフルーツティー。ベリーの酸味と香りがとても爽やか。ジャムなどを加えても◎。

    門倉さん流「夏のティータイム演出術」

    • テーブルまわりや食器類は、白やシルバーでシンプルにまとめると、より涼しげな印象に。
    • テーブルに花を添えるときは、花の小さなものを選ぶと上品にまとまる。
    • 冷たいお菓子には、温かなドリンクを添えて。ミントティーやハーブティーが特におすすめ。

    ご主人の実家の鹿児島から送られてきたマンゴーで作ったシャーベットには濃厚なアイスクリームを添えて。フレッシュミントのホットティーにもよく合います。

    手作りの生姜カスタードジャムをサンドしたクッキー。とろとろジャムとサクッとした生地の食感を存分に楽しむなら、やはり作りたてをいただくのがベスト。

    “家族時間”を豊かに過ごす門倉さん、
    本日はありがとうございました。

    門倉さんの公式サイト:www.tania.jp/

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