自由時感

    ちいさな時間研究所

    リノベーションで実現する
    豊かな暮らしを広めたい。

    せんせい:谷島香奈子

    やじま かなこ さん プロフィール写真

    やじま かなこ さん プロフィール

    1978年佐賀県生まれ。福岡大学経済学部卒業。2000年、株式会社ノエビア(佐賀支店)に入社。販売実績は全国トップクラス、販売代理店開拓全国ナンバー1の実績を上げる。2004年に上京し、ネット広告代理店オプトに入社。2005年トレンダーズ株式会社にて、人材紹介の立ち上げや商品プロデュース、広報・PR活動をなどに従事。NHKラジオ第1放送「東京トレンド予報」のパーソナリティーを務める。2006年、28歳で「不動産」と「デザイン」で新しい暮らしを創造する株式会社Style&Deco(http://www.style-and-deco.com/)を起業。業界に先駆けて、中古マンションのリノベーション・ワンストップサービスのEcoDeco(http://www.ecodeco.biz/)をスタート。2014年には著書「ビギナーのための賢い家のつくり方 中古を買って、リノベーション。」(東洋出版)を上梓。プライベートでは3歳の男女双子のママでもある。

    住まいは賢く、楽しく、自分らしく

    今ではよく耳にするようになったリノベーションという言葉。しかし、設計や費用のことなど、敷居が高いと感じてしまう人が多いのは事実。それでも、リノベーションで広がる住まいづくりの楽しさや豊かさを知らないのはもったいないという使命感に駆られ、物件購入からリノベーションまでをトータルコーディネートする株式会社Style&Decoを立ち上げられた谷島さんに、リノベーションが浸透してきた背景やそのメリットについてお伺いしました。
    「起業をした9年前は家を買うといえば新築が主流で、中古を買うという選択肢はまだまだマイナーでした。中古を買うことは格好のいいイメージのものではなく、『新築を買えないから中古を買う』という空気が漂っていたとさえ言える時代でした」と谷島さんは当時を振り返ります。
    また、不動産会社をはじめリノベーションやリフォームを個別に行っている会社はあるものの、物件の紹介から資金計画、リノベーションまでをひとつの窓口で受けてくれる会社はほとんどなかったそうです。しかし、2012年に国土交通省より「中古住宅・リフォームトータルプラン」が発表された以降、新規参入の業者も増え、リノベーションという言葉を耳にする機会も多くなりました。
    このようなリノベーションを後押しする社会的背景だけでなく、メリットにも注目して欲しいと谷島さんは語ります。
    「中古物件を買ってリノベーションするメリットは、新築を買うよりも
    1. 自分らしいライフスタイルを追求できる
    2. 家をつくる、クリエイティブな喜びを感じることができる
    3. トータルの予算を抑えることができる
    4. 資産価値を上げることができる
    5. 現物を見てから購入できるので安心
    6. 物件選択の幅が広い
    7. 家族の絆が強くなる   など、とても大きいと思います」

    自分にとっての心地よさを大切に

    住まいに愛着を持ち、心地よく住み続けるには「自分に合った住まい」であることが何よりも大切だと谷島さんは言います。「人の数、家族の数だけライフスタイルがあります。自分にぴったりのライフスタイルはどこにも売っていないのです。これこそが自分らしい生き方、暮らし方だというものを見つけるしかありません」
    そこで谷島さんがおすすめする「ライフスタイルの棚卸し」とはどういうものなのでしょうか。「仕事、趣味、家族関係、交友関係、時間の使い方、余暇の過ごし方、インテリアの好み、生活の中で大事にしたいこと、今最も関心のあること、これからやりたいことを全て書き起こしてみます。ご家族で住むならば、夫婦間での話し合いも必要ですよね」
    そうやって「ライフスタイルの棚卸し」で出てきた、こだわりたいポイントを絞ることも成功の秘訣だといいます。「自分が心地いいと思うところは妥協しないこと。例えば、快適な睡眠が何より大事な人なら、寝室の環境づくりに比重をかけるなど、日々の暮らしで気持ち良く感じる部分に注目して優先順位を決めると、心地のいい暮らしが見えてきます」
    また、自分の手を動かしてDIY(do-it-yourself)にチャレンジするのも、愛着のある住まいづくりに一役買ってくれるとのこと。「経験した人からは家への愛着が増したという声が多く聞かれます。壁の一面を違う色にしてみるなど、遊び心を取り入れたり、ごく簡単なところからスタートしてみるのもおすすめです」

    合うものがなければ、つくればいい

    リノベーション業界のパイオニアとして知られているStyle&Deco。しかし、意外なことに谷島さんが起業に至るまでのキャリアは不動産業とは無縁だったと言います。「新卒で入社した化粧品会社時代に、担当していた販売会社の社長さんの多くが女性で、結婚して子供がいてもかっこよくて。私もいつか起業して、そんな女性になりたいと思ったんです」その後は30歳までに起業するという目標を掲げて、ネット広告代理店、人材紹介の立ち上げや商品プロデュース、広報・PR活動などに従事し、28歳で起業。当時は自宅兼事務所でスタッフは0人、建築家の営業代行からのスタートでした。
    「そんな高いお金も出せないけど新築では満足出来ない。もっと快適な暮らしはないものか。既存の形にこだわる必要はないんじゃないか、ということをとことん追求していったら中古を買って、リノベーションという答えが出てきました」辿り着いたリノベーション事業は、仕事や家族との時間も大事にしたいと考えたときに、既存の会社や仕組みの中では満足できないと感じて起業を決意した、谷島さんの生き方そのものに通じるものがあると感じたそうです。「公務員の夫曰く、私は仕事も育児もがんばっている素敵女史ではなく自分の欲望に正直な女らしいです」(笑)はつらつとしたオーラで、着実に夢をかたちにしていく谷島さん。そんな谷島さんから、合うものがなければ自分でつくればいい。自分らしい住まいも生き方も創造できるのだと教えられました。

    大好きな器を飾れるギャラリースペース

    お料理好きのご夫婦宅ではキッチンを中心にデザイン。壁一面のシェルフには、奥様が10年以上かけて集められた雑貨や器が飾られている。

    エントランスをポップな趣味の空間へ

    ボルダリングが楽しめるエントランスに、趣味のアウトドア用品をしまいやすい収納も設置。遊び心と住まう人のらしさが表現されている。

    写真家のこだわり自邸リノベーション

    起伏のある天井に、巧みに照明が仕込まれたスタイリッシュな空間。計算された素材や照明使いで、開放的な印象に。スタジオとして撮影にも使われるという。

    夫婦そろってワインを楽しむ暮らし

    「ヴィンテージホテル」をコンセプトに設計された、バーのような大人の雰囲気のダイニング。ご夫婦で好きなワインを楽しむ暮らしを満喫。

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    “使い続けられる楽しさ”を基準に
    モノを選ぶというエコ。

    せんせい:高橋百合子

    買い替えればエコ。そんな情報に溢れている近ごろの中で、環境にいいモノを選びたいけれど忙しい中で品物を吟味するのはちょっと難しい気が。ちいさな時間にできるエコなお買い物のコツとは?そこで‘90年代から国内外のサスティナブルな商品を・・・

    無理なく、そして楽しく。
    日々の暮らしを上手に整えるコツ。

    せんせい:門倉 多仁亜

    忙しいと後回しにしがちな家の中のお手入れ。特に真夏の時期は、すっきりとした家で心地よく過ごしたいものです。そこで今回は、ちいさな時間で家をきれいに保つコツや、素敵なインテリアの作り方を料理研究家の門倉多仁亜さんに教えていただき・・・

    変化する自分と家族を見つめて。
    住み処を流動させるという価値観。

    せんせい:馬場正尊

    家族を持ったら土地を買い家を建て終の棲家を得る。それが理想の生き方である。世の中にはそんな観念がありはしないでしょうか。しかし昨今その観念が徐々に変わりつつある、と語るのは建築家の馬場正尊さん。都心の廃墟ビルなど機能不全に陥った建物の数々を・・・

    綿々と続く「生命」を
    身近に感じ暮らす豊かさ。

    せんせい:長濱香代子

    日常の中で、ふと緑のある場所を見つけると気持ちがいいものです。色とりどりの花、風にそよぐ木々や草の薫りに心は落ち着き、ときに感動さえします。「庭は、大きな自然へとつながっている」そう語るのは、ガーデンデザイナーの・・・

    五感で味わいたい、
    「本」のある暮らし。

    せんせい:坂川栄治

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    もっと自由に、柔軟に。
    インテリア雑貨を楽しむ暮らし。

    せんせい:作原文子

    「素敵なインテリアで、自宅を心地よい空間にしたい」とは誰もが思うこと。けれども、身につけるものには気を使っても、家の中のことは、つい後回しになってしまって・・・という人は少なくありません。雑誌・広告・映画などで活躍し・・・

    衣を通じて伝えたい
    東洋的思想と自然と共生する暮らし

    せんせい:真砂三千代

    日々の暮らしをもっと心豊かに過ごしたいと願いながら、仕事や家事、子育てなどに追われ、ただ慌ただしく過ぎてしまうという人は多いのではないでしょうか。仕事や家事をこなしながら、より心豊かに過ごすにはどうすれば・・・